やっとの思いでスロバキアの首都、ブラチスラバに到着した。ウィーンとブラチスラバは世界一近い首都同士であるが、その規模には圧倒的な差がある。この小ぢんまりとした駅についた瞬間、達成感で胸がいっぱいになった。何を隠そう私はこの数ヶ月、このブラチスラバで暮らすためだけに、各役所を駆け巡りビザを取得し、ここまでの長旅を潜り抜けて来たのである。
しかし私はオフラインというサバイバルゲームの真っただ中にいる。今日のホステルに向かうために道を尋ねる。駅の外にいた青年に声をかけると、たった今出会ったばかりとは思えないほどの笑顔で答えてくれる。ウィーンからの長旅で疲弊していた私は、こんな小さなことだけで、この街が一気に大好きになった。
結局また何人かに道を訪ねながら、無事にホステルにたどり着いたが、声をかけた全員がびっくりするほど優しかった。私の経験上、ハゲている人は優しいと思っているのだがこの街ではハゲていない人も優しかった。
スロバキアで初めての宿に到着し、慣れないバックパックを背負って来たバキバキの体をベッドに沈め、またしても気絶したように眠った。