翌日、無事に絵本作家の友達に再会することができた。クラクフの旧市街を観光し、初めてのAirbnbの宿に泊まった。実際に宿泊してみて思ったのだが、Airbnbはドミトリーに泊まるくらいの値段で個室に泊まることができるし、何より現地の人々のお家や暮らしを知ることができること、現地の人と交流ができることなど、良いことだらけである。
しかし、キッチンの扉を開けた時、家主のブラッドが包丁を持って立っていた(ピザの袋を開けようとしていたらしい)ときは本気で惨殺されるのかと思ってしまった。
私たちは、翌日早朝からのアウシュビッツ強制収容所の見学に備えた。そこへ行くことに並並ならぬ思いを抱えていたため、予習を万全にし、当日を迎えた。
6時半に、ツアーのバスがくる集合場所へ向かう。だいぶ早めに着いてバスを待つ。しかしバスは来ない。私のここまでの経験から、こちらのバスは遅れて来るものという認識だったので問題ないと思っていたのだが、7時半頃になってもバスは来なかった。
結論からいうと、私たちはアウシュビッツに行けなかった。原因はというと、予約のシステムがややこしく、バス停を間違って理解していたためである。バスはもういってしまったという事実に立ち尽くし、宿に戻った。泣いても叫んでも仕方がない。バスはもういってしまったのだ。
私は、きっと今の自分が行くべきではなかったのだ。きっとまたいつか必ず行くべき時が来る。と捉え、きっぱりと諦めてクラクフを観光した。気持ちを切り替えて観光したおかげで、ヴァヴェルの竜も見ることができた。
安くて美味くて、良い感じのレストランにも行くことができた。
アイスまで食べた。
まあ、こういうこともある。バスは逃してしまったけど、ゆっくりとクラクフを周り、再会した友達ともまた自分たちのこれからについてたくさん話をすることができた。私は彼女の言ってた言葉がとても印象に残っている。「賞をとってもとらなくても、私は絵本を描き続けていると思う。」それを聞いて、ああ人生は自分のできることをし続けることなんだ。と思った。私は彼女をこれからも応援し続けたい。
いつか必ずまた会うことを約束をして、彼女は日本へ、私はブラチスラバへそれぞれの帰路へついた。