予約していた宿はかなり見つけにくかった。チェックインをする際にレセプションで説明を受けるが2割程度しか理解できず、相変わらずの英語力の無さに打ちひしがれていた。
部屋に入ると屈強な欧米男子たちが談笑していた。今すぐ日本に帰りたくなった。こんなところでひとりで夜を明かすなんて絶対無理だと思った。しかし私の部屋はそこではないらしく、屈強な欧米男子たちが「多分隣りの部屋だよ」と教えてくれた。中に入るとまだ誰もいなかった。6台ある2段ベットの上を陣取り寝転がった。
寝転がりながら、どんな人が来るのだろうと考えていた。おそらく複数人の若い欧米人グループで、仮に話しかけられたとしても全くコミニュケーションも取れずに惨めな思いをすることだろう。だいたい何でこんなに気が小さいのにひとりでこんなところに居るんだろうか。という卑屈のループが頭の中を渦巻いていた。軽く眠ってしまい、目がさめると同時に同室の人が入って来た。
目を疑ったのだが、日本人の女性で、しかもひとり旅のようだ。しかしまだ日本人という確信はないので、私が唖然としていると、その人は「あ、日本語で大丈夫ですよ^^」と声をかけてくれた。この時の感動は今でもよく覚えている。
その人はジュンコさんといった。世界2週目のバックパッカーだそうだ。私は泣き縋るように、ジュンコさんにドミトリーでの過ごし方やひとり旅の心得などを教えてもらった。夕食を一緒に食べにいき、私は久しぶりに人と一緒に過ごしている(しかも日本人の人と)という事実にすごくほっとした。
そのドミトリーには偶然にももうひとり日本人の女性が泊まっていて、次の日はその人と3人で飲みに行ったりもした。ひとり旅をするということ、日本に戻ってからのこと、生き方についてなど時間を忘れて色々な話をした。
翌日2人は、それぞれの旅に出発し(スロバキアは小さいのでみんなすぐに通過して行ってしまう)私は再びひとりになった。
しかし不思議と心細くはなかった。世界をひとりで旅する人はたくさんいて、基本は常にひとりだ。だからこうやって出会った人との時間がとても濃いものになり、別れもまた思い出深いものになる。
ドミトリーに泊まるのも悪くないな、いやむしろリスクよりもきっと得るものの方が大きいだろうなと、とこの出会いの余韻に浸りつつ、昨日訪れた、三位一体教会にお礼を言いに行った。