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生きてると「◯◯ってことか!」の連続。

【オンボロバスで大乱闘】ウクライナ修行の旅

クリスマス頃、長距離バスでウクライナへ行った。ちょうどいい時間帯のものがなく地元民くらいしか乗らないような、ボロボロの激安バスを利用した。

 

結果的に、わかったことは「車両で国境越えは絶対にやめたほうがいい」ということだった。国境越えというのは、スロバキアに来てからというもの陸移動にも慣れ、当たり前のようにやってきたことだった。

 

しかし今も尚、東部では紛争が続くウクライナ。スロバキア方面から国境を越えることは、できなくはないが、極めて厳重なイミグレーションを通過しなくてはならなかった。

 

加えて、この日はクリスマスということもあり、国境警備隊の数も少ないのか、国境付近でバスは止まってから何時間待ってもまったく動かない。かなりの量の車両が足止めをくらっていた。

 

そもそも、チェコのブルノからリヴィウまではバスで14時間で着くはずだった。しかし、最終的にバスを降りたのは、24時間後だった。結局国境で10時間も待たされたことになる。日本では考えらないと思うし、乗客はどういう反応なの?と思うかもしれない。実際にこれが一番興味深い点だ。

 

このバスに乗っていたのは、チェコやスロバキアで働いていてクリスマスに帰省するウクライナ人が多かった。ウクライナ人は歌やお酒が大好き。だから、多少の待ち時間では、飲んで騒いで楽しんで過ごしている。ひとりがウクライナの民謡を歌いだすと周りもつられて大合唱。アジア人なんて私ひとりだけなので、不安でしょうがなかったけど、この愉快な雰囲気にほっと安堵していた。

 

しかし、陽気なウクライナ人もさすがに到着予定時間を7時間くらい過ぎた頃から、しびれを切らしたのか、乗務員に苦情を呈し始める。酒もかなり入っているため強い口調になっていく乗客。謝る運転手。そこで、私の隣の席の女性が苦情を言う男性グループにブチ切れる。「あんたたちそんなに文句があるなら、今すぐ降りてタクシーでも拾え!」(※ロシア語なので雰囲気での推測)気がつけば、乗客全員参加の大乱闘にまで発展し、酒のビンまで宙を舞う始末だった。

 

ウクライナ第二の都市、リヴィウに着く頃には全員疲弊していた。ウクライナはというと、物価も安くて街もきれいで、良い国だなあと思ったけど、国境の物々しさと、このバスで出来事が強烈な印象となった。

 

帰りは、この教訓を活かしバスではなくて列車で戻ることにした。リヴィウからウジホロド、そしてコシツェまで、人生初の寝台列車に乗って移動した。一番ボロい階級の車両に乗ったけど、思いの外眠れた気がする。でも、小柄な私にとってもかなり狭いのにヨーロッパ人の大きな身体がどうやってこの台に収まるんだ、とずっと疑問だった。

 

無事にブラチスラヴァに到着。ウクライナの旅は旅行というより修行だったけど、これもなかなか面白い体験だったので良しとしよう。