翌朝は、これまで経験したことのないような二日酔いをくらっていた。しかしこのまま起き上がれず置いて行かれれば、映画ホームアローンのごとく家に泥棒が来て、闘うことになったりしてとか考えて、それもありかと思ったが起きることにした。
絶望的な気持ち悪さだったが、私以上にウォッカを呷っていた神父やお兄さんはケロっとしていて、日本人の酒の弱さというか分解能力のなさに情けなくなった。
朝7時くらいにはチェンストホヴァの家を出発して、車2台でポーランドの最北端の海の街シフィノウイシチェへと向かった。
後部座席は大型犬テラが独占
7時間か8時間くらいかかり、シフィノウイシチェへ到着した。神父が予約した宿に向かう。ホテルやホステルではなく、ペンションを貸し切って自由に一週間使うスタイルとのこと。
しかし、到着した宿が完全にボロ小屋だった。私はわりと汚めの環境でも生活しろと言われればだいたいいけるほうではあるが、私でギリギリいけるというレベルのボロさだった。部屋の中には蚊が200匹くらいいて、カビ臭かった。
見た目はそこまでわるくないがチェンストホヴァのお家のほうが良いのは一目瞭然
先に到着した、私や神父とその甥っ子とテラ(犬)は問題ない。しかし問題は、もうすぐここへ来る、神父のお姉さんやその娘さんや赤ちゃん、つまり女性陣がなんというかである。誰もそれについて語らなかったが、この時点で、正直、ここで一週間全員が過ごすというのは想像がつかなった。
案の定、というかそれ以上の事態だった。お姉さんたちは来た瞬間、このボロ小屋を前に、中に入ることもなく、帰っていった。「あなたは私たちのことを何も考えていないわね!」とひとこと残して。
残された私たちは、仕方なく庭でBBQをした。
肉を焼くボグダン神父の兄
この家畜小屋から100歳くらいの爺さんが出てきてびっくりした。。
とそこへ、ブチ切れて帰ったお姉さんから連絡があり、近くに代替えのペンションを見つけ、予約したのでそこに泊まるとのこと。しかもかなり綺麗で快適な宿なので見に来るといい!と言っているらしい。
結局、お姉さんたちは異国から来ている“ゲスト”の私に気を使ってくれて、私はそちらの快適な宿へと引き取られた。その夜、嵐が来て、あのボロ小屋は耐えられるだろうかと不安だったのでそこへ残してきた神父や甥っ子やテラのことが心配だった。
そして、快適な宿には蚊がおらず、暖かく、本当に快適だった。その夜話し合った結果、次の日には全員この快適なペンションに移ろうということになった。
色々あったが、シフィノウイシチェの大自然の中、海に行ったりできれば十分だし、ポーランドの最北端の街に来れたということにも満足していた。が、次の日大変な事実が発覚する。
ここに滞在する予定の一週間の天気予報が毎日豪雨なのだ。1,2日目は諦めずにペンションですることもなくぼーっとしていたが、3日目の朝に話し合った結果、チェンストホヴァに帰ろうということになった。
一度だけ海に行ったが荒れ狂いすぎていた
と、いうことで結局、700キロもの移動をして来たシフィノウイシチェの街だったが、ボロ小屋事件と荒れ狂った海を一瞬見ただけで終わったのである。想像していたものとはだいぶ違ったが、ある意味これも面白い経験ができたということで私的には満足だった。が、一家の空気は終始重たいものだった。
はやく晴れたチェンストホヴァのあの大きなお家に戻りたい!そしてみんなの機嫌がなおってくれればなあと思っていたのだが、またしても予想外の事件が起こる。
その日の夜から、私はひとりで全く知らない家族の家に滞在することになった。。
続く